多様化する退職金制度!退職金制度コンサルティングのメリットとは
退職金制度とは、各企業の就業規則にもとづき、労働者が退職する場合に退職金を支給する制度のことをいいます。法律で義務付けられているものではないので必ずもらえるものではありませんが、多くの企業に導入されており種類も多様化しています。そこで退職金制度コンサルティングを導入するメリットについてみていきます。
経営者なら見直すべき退職金制度
退職金制度にはいろいろな種類があるため、現在導入しているところでもこのままでよいのか不安に思っている経営者もいるでしょう。まずは、あらためて退職金制度の4種類を紹介します。
退職一時金
退職金を一括で受け取れるのが退職一時金で、企業が退職金を支払い、金額は企業が自由に決められます。勤続年数によって決まっているところや、役職や退職理由も加味される場合、会社の貢献度も考慮されるパターンなどいろいろとあります。
退職金共済
企業が加入している共済から受け取る退職金制度で、共済が退職金を支払い、共済が退職金を決めます。主に退職金制度がない中小企業が加入しており、退職一時金として退職金を受け取るのが基本ですが、分割して年金として受け取ることもできます。
確定給付企業年金
企業が外部に積み立てた掛け金を元手に運用された資産を退職金として支払う制度です。基本的に掛け金は全額企業が負担しますが、一部従業員が支払う必要があります。運用実績が悪くても、従業員が損することはありません。
企業型確定拠出年金
外部に積み立てた掛け金を従業者本人が管理運用し、金額は従業員の運用結果によって退職金が決まる制度です。掛け金は基本的に企業が全額負担しますが、従業員が上乗せすることも可能です。退職金の受け取り方としては、退職金を一括で受け取る退職一時金と60歳以降の数年間に渡って受け取る企業年金の2パターンがあり、大企業の多くは両方受け取ることが可能なところが多いですが、中小企業は退職一時金のみの場合が多いのが現状です。
しかも企業の1~2割は退職金制度がないところもあります。従業員の離職防止やよい人材の確保、福利厚生の充実といった観点からも退職金制度は重要なポイントとなっていますが、退職金をめぐり法制度も変化してきていることから、すでに導入している企業にとっても、退職金制度に関しては今一度考え直す必要があるでしょう。
退職金制度コンサルティングとは
2001年の退職給付会計の導入、確定拠出年金の制度化、2012年の適格退職年金制度の廃止、2025年から始まる65歳定年制など、退職金をめぐる環境は大きく変化しているため、退職金制度に関しては、すでに導入しているところも見直しが必要となってきます。退職金制度を見直す場合に役に立つのが退職金制度コンサルティングです。退職金制度の現状を分析し、課題解決に向けた再構築のサポートをしてくれます。
退職金のコンサルティングは、単に退職金のみのことだけでなく、賃金制度や評価制度を含めた総合的なお手伝いをしてくれるのです。退職金制度を変更する場合には、過去の勤務分の対応や労働条件の変更の手続きなど、社員や労働組合との交渉が出てくる場合があるため、労使交渉の実績豊富な社会保険労務士などが対応もしてくれます。
また、退職金の積立手段として、最適なプランを考えてくれるのも嬉しいサービスです。経験豊富なファイナンシャルプランナーが制度設計をコンサルティングしたり、確定拠出年金導入のサポートをしたり、社会保険労務士と連携した就業規則の作成をしてくれたり、従業員への投資教育研修をしてくれたりなども対応してくれる場合があります。
退職金制度コンサルティングの流れ
それでは退職金制度コンサルティングの導入の流れをみていきましょう。
ヒアリング
まずは気になるコンサルティング会社にメールや電話で問い合わせをします。その後、詳細なヒアリングを行ってくれ、問題点などを分析し根本的な課題を見つけ出したうえで退職金制度の再構築案やプロジェクトのスケジュール案、見積り金額の提示をしてくれます。
モデル設計
より詳細な人事データなどを入手したうえで、制度設計や導入時の費用対効果などのシミュレーションを行います。詳細な分析結果をしたうえで、労働時間や休日などの重要事項やそのほか労働条件の検討をし、適切な退職金ファンドの構築を行い、設計した内容を導入するかどうか判断してもらうのです。
正式導入
正式に導入することになれば手続きがあります。申請書類や契約書を締結したうえで正式導入となります。社内規定の整備や関連機関への手続きなどのサポートをはじめ、組合や従業員への説明に関するサポートなども期待できるでしょう。そして、いよいよ新しい退職金制度がスタートすれば、運用期間中もサポートしてくれます。
まとめ
以上、退職金制度コンサルティングについて紹介しました。退職金制度に法的義務はないものの、多くの企業で採用されています。法制度も変化しているため、定期的に見直すことが大切です。そのために役立つのが退職金制度コンサルティングです。退職金だけに限らず、関連した制度も含めて見直しを図ってもらうことで、従業員の満足度を高め、離職率の減少や人材確保など、企業によい影響をもたらしてくれるでしょう。